フリーライター門賀美央子のお仕事ブログ

フリーライター/エディターの門賀美央子のお仕事ブログです。 手がけたお仕事の他に、得意分野のご紹介もしていきます。 乞うご愛読!!

怪談小説 夏まっさかり!

 なんだかバタバタしていたら七月もすでに終盤……。本当に月日の経つのは早いです。

 いよいよ夏本番ですね。毎日暑いですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。
 私はすでに夏ばてしています ほんと、暑いの苦手なんです……。

 やっぱりこう言う時こそ怪談ですよ、怪談! 私的には妖怪はお彼岸ころ、怪談はお盆ごろ、ホラーは年の瀬というのがベストシーズンなんです。(自分でも若干意味不明ですが、分析するに妖怪巡りには春秋、怪談を読み聞きするには夏、ホラー映画を見るには冬ということでしょうか)

 ありがたいことに今年もたくさんの読むべき怪談がリリースされております。まずは読んだものからご紹介を。

 私にとってこの夏一番の収穫は、東雅夫さんの『文豪怪談傑作選 特別編 文藝怪談実話』です。

文藝怪談実話 (ちくま文庫 ふ 36-8 文豪怪談傑作選 特別篇)文藝怪談実話 (ちくま文庫 ふ 36-8 文豪怪談傑作選 特別篇)
(2008/07/09)
遠藤 周作

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 各界の著名人が発表した怪異実体験談がこれでもかこれでもかと詰め込まれたこの一冊。巻末の初出一覧を見て、もう感銘を受けるほかありませんでした。アンソロジストとしての本領発揮というか、よくもまあこんなところ(どんなところかは初出をご覧あれ)に掲載されているものまでご存じなものです。
 読んでいておもしろいなと思ったのが、ほとんどの方々が「私は霊なんぞ信じていなかったが……」的なエクスキューズをつけて語っていらっしゃるところ。霊の存在を全肯定することには躊躇しつつ、だが自分の体験を解釈するには「霊」の実在をもってするしかない、という葛藤が感じられて、今も変わらぬ人情だなあと微笑ましく思いました。
 また、本書の圧巻は田中河内介に関する記述をまとめた一章です。田中河内介の因縁話はいわゆる「実話怪談」としては珍しく起った場所も時間も目撃者もはっきりしています。それにも関わらず、よくもまあこれだけバリエーションがあるなあ、と。人間の認識なんて実に当てにならないものですね。だからこそ、怖さが潜む余地があるのかもしれませんが。
 毎回楽しみにしている文豪怪談傑作選シリーズですが、その中でも白眉の一冊なのではないかと、僭越ながら思った次第です。


 次は実話繋がりで福澤徹三さんの『いわくつき日本怪奇物件』を。

いわくつき日本怪奇物件 (ハルキ・ホラー文庫 ふ 1-2)いわくつき日本怪奇物件 (ハルキ・ホラー文庫 ふ 1-2)
(2008/07)
福澤 徹三

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 私が福澤さんの実話怪談が好きな理由、それは「煽る書き方」をなさらないところにあります。あくまでも「体験したのではなく、聞いた話である」ということを前提に、いわば記録者としての視点を常に堅持されているように感じるのです。怪談というと「怖がらせてやろう」とするあまり、えらく力が入った文章になってしまいがちですが、私が好きなタイプの実話系の怪談は「こういう話を聞きました。私は怖いと思ったんですが、どうでしょうか?」ぐらいのスタンスで書かれたもの。そういう意味で、福澤さんのお書きになるものの温度は、私にとって一番心地よく感じる頃合いなんだと思います。
 途中数カ所に挟まれているいわゆる「心霊スポット」の写真、これはあそこだよな、とか、これはどこだろう? とか思いながら見るのもまた楽しいのではないでしょうか。

 ちょうど「実話系」という言葉を出しましたので、次はそれがそのままずばり書名になっている本のご紹介を。
〔MF文庫 ダ・ヴィンチ〕怪談実話系 書き下ろし怪談文芸競作集 (MF文庫 ダ・ヴィンチ ゆ 1-1)〔MF文庫 ダ・ヴィンチ〕怪談実話系 書き下ろし怪談文芸競作集 (MF文庫 ダ・ヴィンチ ゆ 1-1)
(2008/06/21)
安曇潤平、岩井志麻子、加門七海、木原浩勝、京極夏彦、小池壮彦、立原透耶、中山市朗、平山夢明、福澤徹三

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 あまりにまんまのタイトルで、最初に見た時にはびっくりしたのですが(笑)。
 これ以上ないのではないかと思うぐらい豪華なメンバーを集めた「実話系」怪談の競作集です。私はこの一冊で、「実話」といっても多彩なアプローチがあるんだってことを改めて認識させられました。同じシリーズばかり読んでいると、ついついジャンルへの認識も偏古になってしまいますが、こうやって各ジャンルのみなさん(しかも一流どころばかり)が出そろったものを読むと、そういうのも解消しますね。ものすごくお買い得な福袋のような一冊でした。

 この『怪談実話系』は、ダ・ヴィンチ文庫の創刊ラインナップの一冊だったのですが、同時に水沫流人さんの『マリオのUFO』宇佐美まことさんの『虹色の童話』も発売されました。

 まず、水沫さんの『マリオのUFO』から。
〔MF文庫 ダ・ヴィンチ〕マリオのUFO (MF文庫 ダ・ヴィンチ み 1-1)〔MF文庫 ダ・ヴィンチ〕マリオのUFO (MF文庫 ダ・ヴィンチ み 1-1)
(2008/06/21)
水沫流人

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 読後、ちょっと感動を押さえきれませんでした。水沫ワールドここに完成、だなと思って。
 まず文学作品として素晴らしい。純文学の人たちは、どうしてこれに注目しないのですか? こういう作品を発掘してこそ、読書の喜びだと思うのですが。
 少年の目線で描かれた異国の社会は、リアリティとファンタジーがないまぜになったような、なんともユニークな世界です。子供が叙述しているからでしょうか、生も死も日々の営みも、どこか幻灯のような頼りなさを漂わせています。行間から立ち上ってくる、名づけがたい空気感。きっとこれは、私がまだ体験したことのないブラジルの街の空気なのでしょう。表題作「マリオのUFO」もよいですが、私は併録の「リオ・ブランコ」に特に強く惹かれました。ついつい、何度も読んでしまいます。
 ストーリー運びに頼らない、小説を構成する一切が渾然一体となって文学に昇華するこの感覚。久しく味わえなかった「文学を読む楽しさ」を味わわせていただきました。

〔MF文庫 ダ・ヴィンチ〕虹色の童話 (MF文庫 ダ・ヴィンチ う 1-1)〔MF文庫 ダ・ヴィンチ〕虹色の童話 (MF文庫 ダ・ヴィンチ う 1-1)
(2008/06/21)
宇佐美まこと

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 一方、宇佐美さんの『虹色の童話』は初の長編。そして、ものすごく正統派の怪談になっています。
 人が生きていく上で不可避な感情の澱が、臨界点を超えた時に発動する怪異。ああ、人間って、なんて業の深い生き物なんでしょう。極端な悪人もいない代わりに、根っから善良な人間もいない宇佐美さんの小説世界。これが、人を描くリアルってもんなのだと思います。
 その人間存在のいやらしさを、抑えた筆致と巧みな伏線で書ききったこの作品。毎回同じ事を言うようで恐縮ですが、これこそまさに「大人の怪談」です。生活者じゃなきゃ書けない怪談です。だから、怖いのです。読後に思ったのですが、宇佐美さんの世界が、実は一番江戸怪談の世界に近いのではないかなという気がしています。これからも楽しみです。

 ところで、最近の若い人は怪談というともひとつピンと来ないけど、「都市伝説」っていうと喰いつきがいいそうで(笑)。

100KB[キロババア]を追いかけろ100KB[キロババア]を追いかけろ
(2008/07/11)
黒 史郎

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 またまた出ました、黒史郎さんの新作。今度は講談社から、ハードカバーです。
 まずは帯文のかっこよさに感動。
「見逃すな! このB(ババア)は音速だ!」 by平山夢明
 ……この帯文が音速です(笑)。
 そして、本の内容。たしかに、ものすごく青春小説でした。そして、ものすごく黒さんでした!
 たぶん、デビュー前にWEB上で発表されていた作品のテイストに一番近い小説になっているんではないか、と黒ウォッチャーである私は思います。
 毎回「とりあえずさわりだけ読もう……」と読み始めると、知らん間に最後まで読まされるはめになるわけですが、本書もその例外ではなく。エンターティメント小説の王道です。そして、黒鶴見とでもいうべきこの街に仕掛けられた色んなトラップ。これ、今後も別の作品なんかで出てくるんじゃないかな?
 優れたエンターティメント作家は、ほとんどの方が壮大なインナーワールドを持っていらっしゃいますが、黒さんの鶴見(だから黒鶴見と勝手に呼んでます)も、発現の場を得て、これからどんどん増殖していくんではないかなー、と。この作品が『楽園都市』書籍化のマイルストーンであることを願って。

 ああ、ここまでで盛りだくさんになってしまいました。
 今日の所は、これにてひとまず。でも、まだまだご紹介したい本は山ほどあります。近日中にアップしますので、ご期待下さい。

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「士業ねっと!全国版」に知人が!

 おいしいものを一緒に食べに行くお友達の一人、行政書士の關口勝生さんが「士業ねっと!全国版」の「突撃!サムライレポート」で紹介されました。

大田区 行政書士 關口行政書士事務所の關口勝生先生を取材!!
http://www.sigyo.net/report/2008/06/post_394.html

 この「士業ねっと!全国版」とは、弁護士や税理士、行政書士など、「士」がつく職業を営む人々とその力を必要としている人たちとを結びつける、地域密着型のマッチングシステムです。
 關口さんは、私とほぼ同じ時期に独立されたのですが、すでにバリバリとお仕事をされ、着実に実績をあげていらっしゃいます。そのバイタリティには脱帽! いつも「すごいなあ」と関心しておるような次第です。
 行政書士とは、行政機関に提出する許認可申請書類等や契約書・遺言書等の「権利義務、事実証明に関する書類」の作成・代理などの法律事務を業とするお仕事です(Wikiより抜粋)。關口さんは、とっても誠実で、信頼のできるお人柄。何か相談事がある方は、気軽にコンタクトをとってみてくださいね!

 詳しくは、↓↓↓で!
ホームページ (http://www.sekiguchikatsuo.com/
ブログ (http://ameblo.jp/sekiguchikatsuo

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「満月の街」宇佐美まこと@小説すばる 2008年7月号

小説すばる 2008年 07月号 [雑誌]小説すばる 2008年 07月号 [雑誌]
(2008/06/17)
不明

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 今月号の小説すばるに宇佐美まことさんの新作「満月の街」が掲載されています。
 読後、思わず感嘆のため息が。
 宇佐美さんの作品は、一作ごとに素晴らしさを増していると思います。
 淡々としたストーリー運びとそうであるからこそ身に迫ってくる恐怖感。この恐怖感は、生理的嫌悪感に極めて近い、だけど全く異質のなんとも言えない厭な種類のものです。これが描ける作家さんというのはほとんどいないのでは……。
 男女関係を主軸に置きながら、そこにあるのはドロドロの愛憎劇ではなく、諦観と諦観を超えた「業」。筆致が冷静であるにもかかわらず、いや、冷静であればこそ、それがいかに逃れられないものなのかがひしひしと伝わってくるのです。そして、ラストシーンの見事なこと。寓話的でもあり、観念的でもあるのに、なぜかリアリティを感じてしまう。不思議です。本当に、不思議と言うしかない。
 読みながら、なぜか宇野亜喜良が描くところの女性が脳裏を過ぎっておりました。
 宇佐美さんの実力は、まだまだ全容が見えていないのではないか。生意気なことを言うようで恐縮なのですが、読み終わった後、そう感じました。先日出たばかりの『虹色の童話』はまだ読めていないのですが、とにかく楽しみです。
 私としては、五つ星クラスでお勧めです。

 
〔MF文庫 ダ・ヴィンチ〕虹色の童話 (MF文庫 ダ・ヴィンチ う 1-1)〔MF文庫 ダ・ヴィンチ〕虹色の童話 (MF文庫 ダ・ヴィンチ う 1-1)
(2008/06/21)
宇佐美まこと

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西荻ブックマーク 2008 予定

 私も何度かおじゃましている西荻ブックマーク、スタッフのお一人でいらっしゃる添田健一さんから、本年度の予定表をいただきました。

西荻ブックマークチラシ


 すでに終了しているものもあるので、7月からの予定をお知らせします。(添田さん、早々に戴いていたのに、告知が遅くなって申し訳ございませんでした

7/13(日) 24回 山下浩二 「三木鶏郎と冗談音楽」
9/21(日) 25回 堀内薫「キャトランドーレの世界を語る」
10月    26回 狩野俊「古本酒場ものがたり」
11月    27回 「そこのみにて光り輝く 〜佐藤泰志の小説世界〜」
12月    28回 「どうなる? 新刊書店!」


各回とも予約制で、料金は1,500円。詳細はホームページhttp://s1.shard.jp/nishiogi/index.htm)でご確認ください。

 私は9月のイベントにお邪魔しようかなーなどと思っております。
 発起人のお一人である北尾トロさん曰く「西荻ブックマークは、本好きたちの思いつきから生まれた“本をめぐるマンスリー・イベント”です。月に一度のペースで行われるトークライブやワークショップ。小さな会場ならではの温かみのあるイベントを、じっくり長く続けていこうと思います(ホームページより抜粋)」とのこと。その言葉の通り、とても手作り感溢れる、ですが商業的には絶対にできないタイプの催し物ばかり。
 他では見ることのできない、マニア垂涎の内容です。もし少しでもアンテナにひっかかるようでしたら、参加してみることをお勧めしますよ!

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「小説すばる」 宇佐美まことさん エッセイ

 第1回『幽』怪談文学賞短編部門大賞の受賞者である宇佐美まことさんのエッセイが、今月号の「小説すばる」に掲載されています。

小説すばる 2008年 06月号 [雑誌]小説すばる 2008年 06月号 [雑誌]
(2008/05/17)
不明

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 掲載コーナーは「Oh! マイアイドル」。
 宇佐美さんとは、一年前の授賞式でお目に掛かって以来、時々メールのやりとりをさせていただいているのですが、まさかこんな一面があったとは(笑)。
 結構意表を突かれてしまいました。
 何に「意表を突かれ」たかについては、ぜひ実際にエッセイを読んでご確認を!
 
 6月25日に創刊されるメディアファクトリーの文庫レーベル「MF文庫ダ・ヴィンチ」では、宇佐美さんの新作 『虹色の童話』がラインナップに入っております。ちょろっとプロットを伺ったのですが、これぞ宇佐美怪談! というに相応しい内容でした。 受賞作を含む短編集『るんびにの子供』でおこる怪異の最大の特徴は、平凡な人間の持つ悪意から発する怪異の恐ろしさ。こういう怖さは、人生をある程度経てきた大人にしかわからないかも。
 つまり、宇佐美さんのお書きになる小説は、大人の恐怖小説、だと思うのです。
 新しい作品でも、その恐怖を味わえるでしょうか? 今からとっても楽しみです。

るんびにの子供るんびにの子供
(2007/05)
宇佐美 まこと

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