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『入らずの森』宇佐美まこと

入らずの森入らずの森
(2009/03/11)
宇佐美まこと

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 平家の落人伝説が残る村にやってきた、三人の余所者。彼らが現われたことで、森の奧に潜む「なにか」が目を覚ます。
 普段は平和な村に、数十年に一度、猟奇殺人が起こったり、狂気の殺人者が現われる理由とは……。そして、村に迫る新たな危機とは。
 南方熊楠の書簡、失われた歌詞、幻の少女。これらの謎が解けた時、物語は一気に転がり始める。



 正統派のホラー小説が読みたいとお望みの方々。
 どうぞ、本書を手にとって下さい。
 本書は、まごうことなき「正統派」のホラー小説です。

 宇佐美さんは、これまで怪談の手法を使って、人の心の弱さや暗部を浮き彫りにされてきました。
 本作でも、それをなさっておいでです。
 ですが、それ以上に、物語のおもしろさの追求に力を注がれたように感じました。
 四国の田舎に住まう訳ありの人々の群像を描きながら、やがてそれが一つに収束していく。その背景にあるのは、千年の人の歴史と、さらに数えること能わぬ生物の歴史。
 身近でありながら、壮大。読む人によっては、見据える歴史のレングスにかの『パラサイト・イヴ』を想起するやもしれません。
 ですが、主題になっているのは、あくまでも「人」の情念です。

 宇佐美さんの人間を見る目は、どこまでも冷たく、そしてあたたかい。
 それは、大人の冷静さと母性の包容力が二つながらに共存しているからなのでしょう。そんな人にしか書けないホラーが、ここにはあります。
 そして、前作より一段と娯楽性が高まった物語を楽しむことができます。伏線の回収の細やかさは、見事というしかありません。宇佐美さんの、知らなかった一面を見た思いでした。

 大変、オーソドックスな作品です。
 だからこそ、素晴らしい。

 とにかく、老若男女を問わず、おもしろい物語を希求する全ての方々に読んでいただきたい。
 衷心から、そう思います。
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