2017-05

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『薬屋のタバサ』

薬屋のタバサ薬屋のタバサ
(2009/05)
東 直子

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自分を消そうとしていた女が、一軒の古めかしい薬屋にたどり着いた。つかみどころのない、独身の薬屋店主、平山タバサと町の住人との不思議な日々。身を任せる安らぎと不安。リリカルな長篇。ややこしくなった、心と身体がほぐれる魔術的な恋愛小説。



 小説家で、歌人でもある東直子さんの新作です。発売されてからちょっと時間が経ってしまったのですが、やっと読めました。淡い色彩の装幀と帯文、さらにはこれまでの東さんの作風などもあいまって、てっきり可愛らしいファンタジーかと思っていたのですが……。意外や意外、かなり大人の物語でした。しかも、読みながら時々ひやり、と首筋を撫でられるような。
 とにかく、つかみどころのない、白昼夢のような空気が全編を覆っています。それも、一つ間違えばあっという間に悪夢になりそうな。
 これを「リリカル」という言葉でくくってよいものか。というか、そもそもこれは恋愛小説なのか? 私にはどうにもそうは思えないのですが……。ただ、一つだけはっきり言えることは、普通の「リリカルな恋愛小説」よりも、断然おもしろい小説だと言うことです。
 ストーリー自体は、ひたすら淡々と進んでいきます。全体が白茶けていそうな、どことなく死んだような町にある一軒の薬局。そこの店主こそ、タバサという人。ハイカラな名前ですが、日本人です。そして、自分でも気づかないうちに店に住み着くようになっていた由実という女性。物語の始まりから、曖昧模糊としています。前半は、そんな二人のもとを訪れる町の人々を描く群像劇。後半は、由実の身に起こった変化がきっかけとなって、ますます夢幻の如く、さらさらと物語が進んでいきます。

 とにかく、妙に不安定な気持ちにさせられます。そして、町の空気にこちらまで飲み込まれそうになります。ラストに至るまで、謎だらけですが、謎が謎に思えない。
「せんないことですよ、そこにいればよろしいでしょう」
 冒頭に、老女がほほえみながら放つ言葉。たぶん、この言葉に、本書のすべてが集約されるのでしょう。
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