2017-10

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『音迷宮』石神茉莉

 ながらくブログの更新もしませんでしたが、ここをご覧くださっている皆様方におかれましてはいかがお過ごしでしょうか? 今年の酷暑は本当に応えますね。早く秋になって欲しいものです。

 そうはいいつつも、今月半ばはもうお彼岸ですから、日は一日一日と短くなってまいります。灯火に親しむ季節の到来です。
 今日は、そんな季節にぴったりの小説をご紹介します。

音迷宮音迷宮
(2010/07/29)
石神 茉莉

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 作家・石神茉莉初の短編集が出ました。その名も『音迷宮』。
 表紙を見て「あ、ホラーだな」と思った方もいらっしゃるかと思いますが、私としては違う! と声を大にして言いたい。石神さんの小説はホラーというよりも、幻想小説なのです。しかも、日本では珍しいタイプの。
 私が好きな女性小説家には、山尾悠子、皆川博子、倉橋由美子などがいるのですが、共通するのは文体に土の匂いがしない点。人形でいうと、カタンドール的、可憐と残酷を硬質な殻で包んだような感じと言えばよいでしょうか。石神茉莉は、その系譜のもっとも今に近いところに立っている作家です。

 石神さんは、これまでに講談社ノベルスから二冊の長編を出していて、それもまた特色があるおもしろい小説なのだけれども、石神茉莉の作家性が顕著に出るのはやはり短編に如くものはないと私は思っています。彼女は、言葉で物語を綴るというより世界を現出させるタイプの書き手だから、短編にこそより長所が発揮されるのです。

 今回、『音迷宮』に収められたデビュー作「Me&My Cow」は、日本妖怪の「件」が出てくる話ですが、これを扱うのにこういうアプローチを考えられる作家が他のどこにいるでしょうか。かつて、この作品を初めて読んだとき、全体を覆う異界感に身震いしました。時代背景や土地の力を必要としない世界、登場人物やストーリーさえ世界を際立たせるための点景にすぎない。
 石神作品の場合、物語は世界という神を構築するための奴隷です。しかし、彼らは嬉々として神の前に傅いている。そして、私たちは、気まぐれな神の見る夢がこぼれてくるのを蜃気楼越しに見る、そんな感じで世界を共有するのです。
 これをさせてくれる作家というのは、多いようでそういない。ですから、私は石神茉莉の小説を愛しますし、だからこそ今回の短編集の発売を心からうれしく思っているわけです。
 この読書体験を、できるだけ多くの方に味わっていただきたいと心から願っております。
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