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『ダ・ヴィンチ8月号』

ダ・ヴィンチ 2011年 08月号 [雑誌]ダ・ヴィンチ 2011年 08月号 [雑誌]
(2011/07/06)
不明

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 これまで何度も印象深い仕事をさせてもらってきた「ダ・ヴィンチ」ですが、今号ほど心に残る仕事はないのではないか。
 送られてきた見本誌を手にし、「東日本大震災 無力感を祈りに変えて」という特集タイトルを見たとき、改めてそう思いました。
 今回、この特集で、私は被災者の方々に直接インタビューをする機会をあたえていただきました。
 被災地には、取材で入るまでにすでに一度訪れていました。その時に、「被災者の気持ちを理解することは決してできないだろう」と痛感していました。悲惨な現状を前にし、ただ呆然と立ち尽くし、熱いものがこみ上げてくるのを感じても、それまでの人生を一瞬にして奪われた人の気持ちを忖度するすべを、私が持っているとは到底思えませんでした。
 絶対に共感できた気になってはならない。激しい無力感に襲われつつ、それだけは決意していました。
 ゆえに、編集部から「被災地へ出向き、インタビューをしませんか」と声をかけてもらったときには、何が何でもやりたいと思った一方、果たして自分にできるのかと不安に思ったものでした。
 インタビュアーとして未熟だというのもありますが、時として相手の心に踏み込んでいかなければいけない作業をするにあたり、まだたった三ヶ月しか経っていない被災者の方々の気持ちを逆なでするようなことをしてしまうのではないか、そんな不安がつきまとったのです。
 しかし、最終的には、一ライターとして、この仕事をやりたいという欲求が勝りました。
 同じような葛藤は、編集者の方もお持ちでした。
 みんなが感じた懊悩に、それぞれ答えを出した結果が、今回の誌面になっているのだと思います。
 テーマが「祈り」となったことに対して、いろんなご意見はあるでしょう。しかし、私は、同行した編集者が帰京する新幹線のなかでおっしゃった「正義は時として人の意に染まぬことを強要しようとするが、祈りは純粋に相手を思う心から発せられる」という言葉に強く胸を打たれました。
 祈りは無為ではなく、人を導く明かりになるのだと、今はそう思っています。

 震災特集では、上記のインタビューのほか、震災関連書籍のブックガイドもやっています。
 どれも良書ですが、私としては『千年災害』と『これからの防災・減災がわかる本』がおすすめ。前者を読めば、この国に住まう限り、私たちは決して自然災害から逃れらないのだということがよくわかります。それを頭に叩き込んだ上で、災害を防ぐのではなく、被害を最小限に抑える社会への転換を説く後者を読むと、自分がすべきことも見えてきたような気がしました。



「六名の作家が書き下ろす怪談実話 ふるさと怪談2011」では、ご当地怪談のブックガイドを担当しています。
 震災からしばらく経って、インターネット上では「みちびき地蔵」というアニメーションが話題になりました。往年の名番組「まんが日本昔ばなし」でアニメ化された気仙沼に伝わる昔話なのですが、この物語では、昔の津波で多くの村人が亡くなったと記憶を、怪談として語っているのです。
 おそらく、これが「昔話」になる前は、当時の「怪談実話」として語られていたのではないでしょうか。
 人知を超える悲惨な出来事を後世に伝えるには、怪談という形をとるのが一番。昔の語り部たちは、経験的にそれを悟っていたのかもしれません。
 今回は、六名の現代の語り部が、「ふるさと」への思いを怪談に乗せています。
 ふるさとがたった一度の地震で失われることがある。しかも、昔と違い、人災としかいえないような要因で、住むのに全く問題がなかったはずの土地を追い出される人もいる。
 21世紀になってこのかた、これほどまでに日本人が「ふるさと」について考えたことは無いのではないでしょうか。私たちは、今後、なにをどう語り継いでいけばいいのか。私は、この特集にその答えの一端を見たに思います。
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門賀美央子

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