2017-08

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衝撃のラストとはこういうのだと思う……『告白』 湊かなえ

告白告白
(2008/08/05)
湊 かなえ

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<我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。 >

 私も仕事柄、色んな小説を読みますが、この作品は今年のベスト3入り確定の本です。2008年は残りまだ数ヶ月ありますが、現時点でもそう言い切れるほどすごい作品なのです。
 愛娘を自分の生徒に殺された女性教師と、事件に関わった4人の人間の独白。事故として片付けられてしまった事件は、語る人間によってさまざまな側面をみせます。まさに「藪の中」的展開です。そして、前章の内容を受けて、新たな人物が新たな事実と視線を提供し、少しずつ事態は進んでいきます。物理的な謎解きはありませんが、登場人物達がとった行動の動機が次々に明らかになっていく様は、どんな大仕掛けのトリックにも勝るサスペンスです。そして、誰もが実に尤もらしく、自分の行動原理や心情を語ります。ですが、そのどれもが、人として何かが欠けている身勝手な言い分にしか過ぎない。なのに、その言い分は、最近の世の中ではとっとも珍しくもないタイプの物言いなのです。怖ろしいことに。
 通底するのは「自分は悪くない。悪いのは○○」という論理でしょうか。
 この論理を通そうとする人間達に、罰を与えようとする女性教師。ですが、彼女は決して正義の味方ではありません。策を弄し、人を陥れ、冷徹なまでに犯人と彼を育んだ血縁者を追い詰めます。当然の復讐として。彼女には「許す」という言葉がない。だから、読み終わった瞬間に、カタストロフィはあっても、爽快感はない。爽快感はないけど、どこか脱けきった感じがする。独特の読後感が襲ってきます。
 登場する人物達は、決して特殊な人たちではありません。もしかしたら、私やあなた自身なのかも知れません。
 いったい、どんな人物達が、どんな事を「告白」するのか。とにかく、一読を強くお勧めします。決して損はしないはずです。ここには、私たちが生きる現代社会そのものが活写されているのですから。
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